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『交通安全のお守り』のような財務諸表と分析指標

『交通安全のお守り』のような財務諸表と分析指標

・会計ソフトを導入し、財務諸表(損益計算書など)、経営分析指標などを見ることができる。
・経営者は会計講習を受けて財務諸表の見方(安全性、収益性など)がある程度わかる。
・経営計画も作り、予算と実績の対比ができる。

しかし、経営建て直しの成果は出ない
一見素晴らしい。しかし、「これだけでは経営再建に結び付かないし交通安全のお守りのようだ。」
この指摘に共感を覚える経営者の方々が多くおられるのではないでしょうか。

一体何故でしょうか?
・会計ソフトから出てくる損益計算書、貸借対照表、経営分析数値は財務的な結果です。それらの財務的結果はその原因となる仕入れ・在庫管理・宣伝・販売・回収・アフターサービスなどの諸活動を反映したものです。したがって、財務的結果の改善ためには具体的な諸活動を改善することが必要です。
・たとえば、粗利率が下がる原因は、商品ミックス、競争激化、特定顧客への値引き、長期在庫の値引き販売などいろいろなことがあり得ますから、その原因がわかるような売上明細がないと何の対策も取れません。ところが、会計ソフトには仕訳データを入力するのが基本なので、原因がわかる詳細データを提供するのは難しいでしょう。
・商品ごと/顧客ごとの正確な粗利をつかむには適切な在庫管理が不可欠です。粗利率の改善には顧客ごとの購入履歴と粗利率の比較が必要になることもあるでしょう。
・財務結果から具体的な活動の改善ができるようにするには、財務情報を在庫管理情報、顧客管理情報などといっしょにみる必要があります。ところが、会計ソフト、在庫管理ソフト、顧客管理ソフトを別々に導入するだけでは入力の手間ばかり増えて、必要な情報を得ることはできません。
・会計、在庫管理、顧客管理などが一体となった統合ソフトを導入すればどうでしょう。あるレベルの情報は得られるかも知れません。しかし、企業の情報管理能力や改善能力は経験とともに徐々に向上していくものです。また、経営環境も常に変化していきます。したがって、必要とされる情報内容や形は常に変化していきます。こうしたことから、高額の統合ソフトを導入しても、初めは使いこなせず、後になると機能不足になる可能性が高いのです。つまり、高額の投資には疑問と不安があります。

一体どうしたらいいのでしょうか?
・「会計ソフトを導入し、経営者は会計勉強し、経営計画を作って予算実績の比較もしているのに目に見える成果が出ていない」という状況を改善するための方法は、結論から言えば、企業ごとに違うから従業員に考えさせるようにするしかないということです。
・将来の経営幹部の養成として、会計と現場活動をつなぐことができる人材を育て、その人材に効果的な情報を効率的に提供させることです。適切で効果的な情報を与えられれば、研究開発・製造・営業・物流などの現場の人たちは自発的に考え必要な改善努力をするようになるはずです。
・この情報管理と提供を担う人材に求められる資質と知識はどんなものでしょうか。資質としては、創意工夫をする創造性が必要です。知識としては、経営のための会計知識が必要です。これは財務諸表を作る知識ではなく、財務分析だけの知識でもなく、本当の儲けの指標を具体的な活動目的に翻訳する知識、つまり、会計を経営に活かす知識です。これは、別途の説明が必要ですが、決して難しいものではありません。
・仮に、このような会計知識を経営会計と呼ぶことにすれば、この経営会計の知識はいずれは全従業員が共有しうるほど常識的に理解しえるものです。そして、その共有によって従業員の自由な発想と努力が一つのベクトルに集約され企業の底力になるのです。これまで、製造現場でのQC活動で利益や売上増を実現した例はありますが、これからは、本当の儲けの意味とその達成の道筋を理解した全従業員の全社的な活動が企業の競争力の源泉になるのです。